世田谷福祉作業所の建替計画は区役所の営繕課によって着工の5年前に設計を終えていた。着工時には設計当時の担当者は担当から外れており、基本的な建築の形と予算は決まっていたものの、細かな内外装などの最終決定は落札した施工者と施設に委ねられる形となった。建築の専門家ではない施設側はアドバイザーを必要とし、私達にご相談を頂いた。また施設は建替えに合わせて、利用者・働く人・地域の人が共により気持ちよく過ごせる場所を目指してデザインを重視したリブランディングの渦中でもあり、建築も、予算や選択肢の制限下で、出来るだけシンプルな気持ちの良いデザインで新しいブランドイメージを共創する事が求められた。
現場や移転前の施設内で調査とヒアリングを行い、施設管理者や現場施工者とディスカッションを重ねた上で、[利用者・働く人・地域の人の認知のしやすさ/使いやすさ/メンテナンス性/耐久性/落ち着きながらも明るく爽やかな空間]に向かって、内装外装の製品の選択、全体の色彩計画、インテリアコーデイネート、設備の調整、サイン計画等を行った。
これは、建築の躯体と施設使用者の体験との間のトータルなサーフェースデザインともいえるプロセスとなった。