世田谷福祉作業所分場の改修工事のアドバイザリーと同時に、分場内でリニューアルする「しあわ世のもりあわせカフェ」を設計した。
世田谷福祉作業所では、施設のユニークなデイレクションの下、手漉きの紙の製作やその紙を使った活版印刷、版画、スパイスの調合製品の作成、製品のデザインなど、利用者さんと地域のスペシャリストとのコラボレーションによって、しあわせなモノが生み出され、作業のまわりにしあわせな空気感が生まれている。
施設に付随するカフェのリニューアルでは、緑豊かな公園に隣する立地を活かして、福祉を軸に、地域の様々な世代やバックグラウンドの人々が集う公共の空間になることを目指した。制作物を常設して日々の作業や生活が垣間見られ、また利用者さんが働く試行の場所となることで、福祉と社会を近づけ、そのまわりにいろいろな楽しみやしあわせがもりもりと集まってくるコモンの空間をつくりたいと考えた。
様々な世代や身体状況の利用者がそれぞれの過ごし方が出来るバリエーションのある居場所を内外に設え、古く無機質だった空間に小さな仕掛けでヒューマンスケールと勾配を持ち込んでいる。
様々なアクティビティーを受け入れられるように、多様な方法で展示などのコミュニケーションが生まれるように、可変性と進展性のある什器を計画した。素材は国産材/リサイクル材を中心に、「いろいろなしあわ世の重ねあわせ〜ひとりひとりの違いが集まり重なってつよくたのしくなる〜」をテーマに、小さな異方向材の集積で強くなる材料を使用した。
施設の方々や地域のスペシャリストと協同してカフェづくりを進める中で、孤立化・分断されていく社会で、障害者福祉施設が社会に開かれていくことは、施設や利用者さんだけのメリットではなく、私たち皆の社会を支える土台を新しくつくり出すクリエイティブな作業だという事を日々教えられている。
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